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夏目漱石 『門』 2
円覚寺 山門


鎌倉・円覚寺の門
『門』は漱石がここに参禅したときの経験がもとになっているらしいです。


夏目漱石『門』1
あらすじもこちらにあります。


今まで三部作の前半2冊を眠い、つまんない、と酷評してきた私ですが、今回はちょっと印象が違いました。

淡々と進むほのぼのとも言える日常の中になぜか離れない“薄暗さ”。

その暗さはなんなのか?
そう思って読んでいくと、ちらちらかいま見える過去に起こした罪や、それに対する罪悪感、そこから派生した困窮、などが徐々に表れてきます。

これを全て内包した上でやはり淡々と進んでいる“日常”が人を引き込むのではないかと思います。


その“薄暗さ”をより一層浮かび上がらせるのが大家の坂井との交流です。
坂井には金があり生活に余裕があり、子供もいて賑やかな家庭がある。

ある場面で宗助は「自分がもし順当に発展して来たら、こんな人物になりはしなかったろうかと考えた」とあります。
この宗助とは正反対の人物を描き、宗助に無いもの、宗助が御米と引き換えに失った物を坂井に見出させる。
言わば坂井は、過去の宗助の未来の可能性の1つであり、今は全く可能性のない現実であることを如実に表しているのです。


そんな中、時が経つにつれ今までの日常を少しずつ壊していく出来事が起こっていきます。

・叔父の死により小六の学費打ち止め。それに伴い宗助の家に小六が住むことになる。
・一時御米の体調に異変。
・御米の元夫で宗助の親友である安井の消息を知る


そして安井の消息に心を乱した宗助は、何もかも放り出して突然鎌倉に参禅してしまいます。
結構この展開はびっくりしました…。

この急な参禅はこの作品の欠点とされており、その理由として漱石の肉体的衰弱があげられます。
また、『門』というタイトルに落ちをつけるためにそうしたとも考えられています。
「一向に門らしくなくて困っている」とぼやいていたくらいだから大いにありえます…。

そのためか、Wikipediaには「大きなクライマックスを持たずに終焉を向かえってしまっている…(以下略)」とあるように、
結局安井も作中には現れず、悟りも開けず、ほとんどの問題に解決が見られない中話は終わってしまうのです。

しかし、本当にこれはインパクトに欠ける終焉なのか?
欠陥だったのか?


そこで小六の問題が一段落ついた後の、物語の最後の夫婦の会話を考察します。


御米は障子の硝子に映る麗かな日影をすかして見て、
「本当に有難いわね。漸くの事春になって」と云って、晴れ晴れしい眉を張った。
宗助は縁に出て長く延びた爪を剪りながら、
「うん、然し又じき冬になるよ」と答えて、下を向いたまま鋏を動かしていた。


(すみません、考察にこの感想入れるとぐちゃぐちゃになりそうなんで、ここで呟かしていただきますが、
御米は上を向いていて目先の春を喜ぶ、宗助は下を向いたままもう冬の話を持ち出す。
なんかすごく深くてよくないですか、この対比!)


宗助は罪悪感からは救われなかった。
御米に子供ができるかどうかもわからない。
安井との和解もなかった。

何度も言うように、結局この作品において過去の罪もその罪悪感も何もかも、何ひとつ解決などしていないのです。


ただ今は春でまた冬が来る。
いいことも悪いこともまたやってくる。
物事に根本的解決などありえない。
それをただ受け止めていくしかない…。


ある意味宗助は“悟れなかった”ことからこのことを悟ったのではないかと思うのです。

この答えは漱石が晩年達した「則天去私」という人生観に通ずる、つまりそれは漱石の三部作から生まれた最終的な答えなのだと思います。



以上感想でした。
ちょっときりが悪くなっちゃった…(-_-;)

感想・反論・他の考察などありましたら教えていただけると嬉しいです。
参考にさせていただきます。

最後に、今回も長々と論点ぶれまくってるところお付き合いいただきありがとうございましたm(__)m





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