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泉鏡花 『外科室』 2
高野聖 (角川文庫)高野聖 (角川文庫)
(1971/04)
泉 鏡花

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泉鏡花『外科室』1
あらすじは1にあります。

できた♪
久しぶりに本業\(^O^)/

前回の続きです。
こっからは感想なり。


この『外科室』は観念小説と呼ばれるジャンルの代表作です。
観念小説とは日清戦争後に現れた、人間悲劇の原因を社会にありとする、社会の不合理を描いた作品群を指します。

元々泉鏡花は『外科室』『夜行巡査』で観念小説の代表作家として注目されていましたが、『照葉狂言』以後、幻想的・浪満的な作風に転向し独自の美的世界を表現しました。

前記通りこの『外科室』は観念小説のジャンルではありますが、手術中の場面の緊迫感の中、2人の間にある踏み込めないどこか幻想的な空気を美しい文章で表現していて、後の作風の前身を感じさせます。


では、鏡花がこの『外科室』に織り込んだ“観念”とはなんでしょうか?

高峰も貴船夫人もお互いあの植物園で一目惚れします。
しかし、「あなたは私のことを知りますまい」という夫人の言葉から察するに、お互いとも相手側は自分について何も思っていないだろうと推測していたのだと思います。

だいたい、当時の彼らは貴族の娘とただの医学生。身分の差がありすぎる。
また3人の女性の内誰が貴船夫人だったかはわからないが、もし貴船夫人が丸髷の女性だったとすると既に結婚していたことになってしまう。
だから長年高峰も「予」に何も言わなかったし、貴船夫人も秘密にするしかなかった。
ただ、二人とも互いをどうしても忘れられなかったからこそ高峰は妻を迎えなかったし、夫人も再会した高峰を心底信頼したのだと思います。

そして九年後、医者と患者として再会した二人は何を思ったのか。
もしかしたら、夫人は偉くなっていた高峰に会い余計に秘密がバレてはいけないと決意してしまったのかもしれません。


そして、結局貴船夫人は高峰の心を知るために手術中自殺してしまいます。

「でも、あなたは、あなたは私を知りますまい!」

「忘れません」


夫人は既婚にも関わらず名も知らぬ医学生をずっと愛していて、医学生の方もその貴婦人を愛していた。

しかし、それでも結ばれることはない2人の悲劇はなぜ起きたのか?
それは社会の風潮のせいなんだ。

それを当時の世に発表した鏡花。
ちょっとすごいと思います…


なんか微妙に解釈間違ってるかもしれませんが以上です。
いつもの事ながら長々おつきあいありがとうございましたm(__)m

感想・反論・他考察、あったらぜひぜひ教えてください、参考にさせていただきます。


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テーマ : 読書ノウト
ジャンル : 本・雑誌

泉鏡花 『外科室』 1
泉鏡花集成〈1〉 (ちくま文庫)泉鏡花集成〈1〉 (ちくま文庫)
(1996/08)
泉 鏡花

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青空文庫より『外科室』


小5まで外科のことを“がいか”と読んでました…。

泉鏡花『外科室』です。
昔読んだ際古文調に圧倒されて挫折してしまったのですが、再チャレしてみました。

読めたよ読めた。
これでも私日々進歩してるんだ…。 ←

明治と近い時代だからかそんなに難しくありませんでした。
現代訳&軽く要約。

<上>
画家である私はその職業と今回手術をすることになった親友の高峰のおかげでその手術を見学させてもらうことになった。

その患者である貴船夫人は手術のために麻酔を射つことを
「自分には誰にも言えない秘密がある。麻酔を射つとうわ言を言うという。ならばその秘密を言ってしまうかもしれないから射ちたくない。」
と言って拒む。

周りの者が夫人を説得するが夫人は
「麻酔を射たねばならないなら手術はやらなくていい。そうでなければ麻酔はしなくていいから手術をしてくれ。動きやしないから大丈夫。」
と、とんでもないことを言う。

夫人と周りの者たちはいろいろと問答するがやはり応じない。
すると今まで黙っていた高峰はメスを取り、夫人の胸を掻き開けた。夫人は本当に足の指さえ動かさずにじっとしている。

高峰は誓うがごとくに
「夫人、責任を負って手術します。」

「どうぞ。」
一言答えた夫人の両頬は
紅くなっていた。

そして三秒にして手術は佳境に達したとき、
「あ」という声を絞って、20日も寝返りさえできない状態だと聞いている夫人は、器械のように半身を跳ね起きつつ、メスを持つ高峰の右手の腕に両手をしっかりととりすがった。

「痛みますか。」
「いいえ、あなただから、あなただから。」
こう言いかけて、夫人はがっくり仰向きつつ、冷えびえとした眼に名医をじっと見守って、
「でも、あなたは、あなたは私を知りますまい。」
言うときには遅く、高峰が手にしているメスに片手を添えて、乳の下を深く掻き切った。

医学士は真っ青になっておののきつつ、
「忘れません」

その声、その呼吸(いき)、その姿、その声、その呼吸、その姿。
伯爵夫人は嬉しげに、とても無邪気にかわいらしく微笑(えみ)を浮かべて高峰の手から手を離し、ばったり枕の伏した。唇の色はもう変わっていた。

そのときの二人の様子はあたかも二人の周りには天もなく、地もなく、社会もなく、人もいないかのようだった。

<下>
9年前、高峰がまだ医科大学の学生だったみぎり、ある日私は彼と共に小石川の植物園を散策していた。

そこのつつじの丘に一群の貴婦人たちがいた。
その内の一人と高峰はそのとき、一目で恋に落ちてしまった。
それが後の貴船夫人だった。

しかし、それから九年経ってあの病院でのことがあるまで高峰はあの婦人のことについて私に一言も言わなかったが、年齢においても地位においても、高峰は妻がいるべき身分にも関わらず、家に迎える夫人もなく、しかも彼は学生の頃より一層品行が謹厳になった。私は多くを言うべきではなかったので言わなかった。

青山の墓地と谷中の墓地と場所こそ違えど、同じ日に前後して二人は共に逝ってしまった。

話を寄す、天下の宗教家、彼ら二人は罪悪があるなら、天国に行くことができないだろうか。


ぇ~、<上>の後半、作品の感じを出したくてつい丸々訳しちゃいました…。
なんで思ったより長くなっちゃった(-_-;
もう少しおつきあいください…。



プロフィール

塩枝

Author:塩枝
読書、音楽、二次元 を好む気まぐれ女子大生です

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主に読書感想文を中心に備忘録載せています.つたない文章ですが読んでいただけると嬉しいです^^
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よろしくお願いしますm(__)m
 

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