スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
夏目漱石 『門』 2
円覚寺 山門


鎌倉・円覚寺の門
『門』は漱石がここに参禅したときの経験がもとになっているらしいです。


夏目漱石『門』1
あらすじもこちらにあります。


今まで三部作の前半2冊を眠い、つまんない、と酷評してきた私ですが、今回はちょっと印象が違いました。

淡々と進むほのぼのとも言える日常の中になぜか離れない“薄暗さ”。

その暗さはなんなのか?
そう思って読んでいくと、ちらちらかいま見える過去に起こした罪や、それに対する罪悪感、そこから派生した困窮、などが徐々に表れてきます。

これを全て内包した上でやはり淡々と進んでいる“日常”が人を引き込むのではないかと思います。


その“薄暗さ”をより一層浮かび上がらせるのが大家の坂井との交流です。
坂井には金があり生活に余裕があり、子供もいて賑やかな家庭がある。

ある場面で宗助は「自分がもし順当に発展して来たら、こんな人物になりはしなかったろうかと考えた」とあります。
この宗助とは正反対の人物を描き、宗助に無いもの、宗助が御米と引き換えに失った物を坂井に見出させる。
言わば坂井は、過去の宗助の未来の可能性の1つであり、今は全く可能性のない現実であることを如実に表しているのです。


そんな中、時が経つにつれ今までの日常を少しずつ壊していく出来事が起こっていきます。

・叔父の死により小六の学費打ち止め。それに伴い宗助の家に小六が住むことになる。
・一時御米の体調に異変。
・御米の元夫で宗助の親友である安井の消息を知る


そして安井の消息に心を乱した宗助は、何もかも放り出して突然鎌倉に参禅してしまいます。
結構この展開はびっくりしました…。

この急な参禅はこの作品の欠点とされており、その理由として漱石の肉体的衰弱があげられます。
また、『門』というタイトルに落ちをつけるためにそうしたとも考えられています。
「一向に門らしくなくて困っている」とぼやいていたくらいだから大いにありえます…。

そのためか、Wikipediaには「大きなクライマックスを持たずに終焉を向かえってしまっている…(以下略)」とあるように、
結局安井も作中には現れず、悟りも開けず、ほとんどの問題に解決が見られない中話は終わってしまうのです。

しかし、本当にこれはインパクトに欠ける終焉なのか?
欠陥だったのか?


そこで小六の問題が一段落ついた後の、物語の最後の夫婦の会話を考察します。


御米は障子の硝子に映る麗かな日影をすかして見て、
「本当に有難いわね。漸くの事春になって」と云って、晴れ晴れしい眉を張った。
宗助は縁に出て長く延びた爪を剪りながら、
「うん、然し又じき冬になるよ」と答えて、下を向いたまま鋏を動かしていた。


(すみません、考察にこの感想入れるとぐちゃぐちゃになりそうなんで、ここで呟かしていただきますが、
御米は上を向いていて目先の春を喜ぶ、宗助は下を向いたままもう冬の話を持ち出す。
なんかすごく深くてよくないですか、この対比!)


宗助は罪悪感からは救われなかった。
御米に子供ができるかどうかもわからない。
安井との和解もなかった。

何度も言うように、結局この作品において過去の罪もその罪悪感も何もかも、何ひとつ解決などしていないのです。


ただ今は春でまた冬が来る。
いいことも悪いこともまたやってくる。
物事に根本的解決などありえない。
それをただ受け止めていくしかない…。


ある意味宗助は“悟れなかった”ことからこのことを悟ったのではないかと思うのです。

この答えは漱石が晩年達した「則天去私」という人生観に通ずる、つまりそれは漱石の三部作から生まれた最終的な答えなのだと思います。



以上感想でした。
ちょっときりが悪くなっちゃった…(-_-;)

感想・反論・他の考察などありましたら教えていただけると嬉しいです。
参考にさせていただきます。

最後に、今回も長々と論点ぶれまくってるところお付き合いいただきありがとうございましたm(__)m





スポンサーサイト

テーマ : 読書ノウト
ジャンル : 本・雑誌

夏目漱石 『門』 1
門 (新潮文庫)門 (新潮文庫)
(1948/11)
夏目 漱石

商品詳細を見る


親友の安井を裏切り、その妻であった御米と結ばれた宗助は、その負い目から、父の遺産相続を叔父の意にまかせ、今また、叔父の死により、弟・小六の学費を打ち切られても積極的解決に乗り出すこともなく、社会の罪人として諦めのなかに暮らしている。そんな彼が、思いがけず耳にした安井の消息に心を乱し、救いを求めて禅寺の門をくぐるのだが。
(新潮文庫『門』解説より、一部省略)



お久しぶりです!
改めて、新年あけましておめでとうございますm(__)m
皆様ゆっくりお正月を過ごせたでしょうか?
私は過ごしすぎて冬休みも終盤に差し掛かった今も全く宿題が終わりません…(--)

そこで宿題の小論文を終わらせるためにも今日は予告通り夏目漱石『門』をしっかり考察しようと思います!


ところで、今日これをやるのにはれっきとした理由があります。
なんと今日、1月5日は夏目漱石生誕の日なのです☆

実は河童忌とかと同じように漱石の忌日の12月9日にやろうかとも思ったのですが、あえなく私は試験中でして…
それに忌日よりは誕生日の方が縁起がいいだろうと理由をつけて今日にしました(‥)v


『門』は『三四郎』『それから』に続く前期三部作の最後の作品です。
『門』の話に入る前に、ちょっとこの“前期三部作”について書こうと思います。

この前期三部作はよくそれぞれ内容の関連が話題になります。

『それから』のタイトルなどは、まんま『三四郎』の“それから”という意味でつけられたようです。
『門』も連載をはじめるときに漱石が弟子に勝手にタイトルをつけておいてくれ、と頼んだとか。
弟子は結局本を開いて、ページの最初の文字をタイトルにしたらしく、それで『門』になったんだそうな。

これで後に「一向に門らしくなくて困っている」(寺田寅彦宛書簡)とこぼすはめになります。
正直自業自得だぜ( д)


ではどのようにつながっているのか。
詳しい内容は
角川文庫「文豪ナビ『夏目漱石編』で確認していただけるとわかりやすいと思いますが、簡単に書くと

恋をしたがふられる(『三四郎』)

昔親友にあげてしまった女と再会し、悩んだ末その女を親友から奪ってしまう(『それから』)

奪った女と共に過去の罪を背負いながらひっそりと生活する(『門』)

となります。


上の文を読んで皆様察せられる通り、実は宿題をさぼって『三四郎』を読んでいません…読んでるとどうしても睡魔に勝てなくて(-_-;

だからなのか個人的には『三四郎』と『それから』が繋がっているとは微妙に思えないのですが、『それから』と『門』は確実リンクしてますよね。
実は『門』から後期三部作の『こころ』にも微妙に繋がっています。


三角関係を描いた三部作。
漱石が三角関係にこだわった理由として、彼もそれに悩んだ過去があるのではという説もあるらしいです。

しかしその事実があろうとなかろうと、漱石が三部作の最後、『門』で1つの答えを出したと思うのです。

それはなんなのか?
そして私はちゃんと読み解けているのか? ←
正直不安です…。

とにかく次の章で『門』本文について考察していきたいと思います。

長々すみません…
もう少しお付き合いくださいm(__)m


夏目漱石『門』2





テーマ : 読書ノウト
ジャンル : 本・雑誌

漱石買いました
門 (新潮文庫)門 (新潮文庫)
(1948/11)
夏目 漱石

商品詳細を見る


課題図書なんで買いました。
一緒に『こころ』も買ったんですが、表紙の絵がないので画像載せませんでした。
角川の発見君じゃなくて金魚の表紙のやつです。

『門』は今一通り読みましたが感想はまた今度。
…漱石ゆかりの日にUPしたいと思ってますが間に合うといいなぁ

以上近況報告でした!


テーマ : この本買いました
ジャンル : 本・雑誌

夏目漱石 『それから』
それから (角川文庫)それから (角川文庫)
(1985/10)
夏目 漱石

商品詳細を見る


青空文庫より『それから』


昨日夏休みに書いた小論文が帰ってきました。

お題は夏目漱石の『それから』

この本、本当につまらない。

結局プータローが職を探しに行く話だからな…
ぇ、違う? 笑

まず全く動きがない。
代助が永遠にとにかく同じことを悩みまくる。
堂々巡りも甚だしい。

結局描きたいのは高等遊民が自らの思いと社会のしきたりの間で苦悩する姿なわけだから、動きがないのはしょうがないとしてももっと他の展開あるだろう。
あんなにページ数いるか?

たぶん1/3あれば事足りる内容。




ちなみに冬は『門』の小論文宿題。
春には『三四郎』読まされたから要するに今年1年で前期三部作読ませるつもりらしい。
今まで前2冊が大はずれだったからあまり期待していない…

ちなみに『門』は『それから』の“それから”的作品らしい。

また読んだら感想載せようと思います。



テーマ : 書評
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

塩枝

Author:塩枝
読書、音楽、二次元 を好む気まぐれ女子大生です

詳しい好みはこちら

主に読書感想文を中心に備忘録載せています.つたない文章ですが読んでいただけると嬉しいです^^
ネタバレ苦手な方は注意してください。
気軽に声かけてください! 
相互リンク、ブロともも大歓迎です♪

よろしくお願いしますm(__)m
 

最新記事
最新コメント
カテゴリ
カレンダー(月別)
03 ≪│2017/04│≫ 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
QRコード
QRコード
検索フォーム
FC2カウンター
ぽちっとお願いします!
リンク
青空文庫ポケモン王国
Twitter
Twitterやってます。こちらは頻繁に運行中w 気軽フォロー・リプ・RTなど声かけてください^^
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

読書メーター
ごんさんの読書メーター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。